『組織の「ルール」と「あそび」』~明快通信Vol.058~
2015年5月12日
おはようございます。
人事評価システム『明快』事務局の佐藤明日美です。
私は家でも、店でも「蕎麦」を食べることが大好きなのですが、
食後の蕎麦湯もまた楽しみにしています。
それなのに、全ての蕎麦湯を流してしまうという、
蕎麦好きとしては、到底立ち直れない事態を自ら引き起こしました。
(なぜ、大好きな気持ちとは裏腹に、そんな事態を引き起こすのか
自分が不思議でなりません・・・)
先日、明快通信【号外】でご案内した、
井上先生のセミナー情報は、編集後記のあとにある
『井上先生の無料【組織活性化プロジェクトセミナー】はこちら』
をご覧くださいね。
さて、今週も井上先生から人や組織に関する
ノウハウを取材して参りました。
今回のテーマは「組織形成」。詳しくは本文で・・・!
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テーマ:組織の「ルール」と「あそび」
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前回は、私がエンタテイメント業界にいながら感じた
「制約」がクリエイティブに与える影響のこと、
「制約」の無い中で、自己コントロールをして
成果を出し続ける社員の背景、理由をお話しました。
前回の記事はこちら↓↓
http://jujube-ex.jp/Lcc769/1691
今回は、楽しく自己コントロールをできてしまう環境について
組織、上司のあり方のヒントについて考えてみたいと思います。
■組織が大きくなれば「ルール」ができて当然
まず、始めに復習ですが、前回、私は
自己コントロールができるということは、
「自分にかけるべき負荷をかけられること」と定義しました。
社員がそれぞれに自分にかけるべき負荷を自然と
かけるような環境は、どんな環境なのか。
みなさんもイメージしながら、聞いてくださいね。
まず、組織は、人が増えれば増えるほど、集団のコントロールは
当然ながら、難しくなります。
必然的に、「ルール」を設け、集団の統制をしやすくします。
大企業では、評価制度をはじめとした人事制度に
少々の矛盾があろうと、制度を施行し続けるのは、
集団のコントロールのためには必要不可欠だからです。
ただそうなると、そもそもの制度自体の目的は、
二の次になっていきます。
そうやって、いろいろな外的な縛りが出来上がり、
制約をたくさん持った組織に「あそび」は生まれません。
なぜなら、そこで働く人の気持ちと会社から
言われることにズレが生じ始め、
社員の気持ちは会社と違うところに向かい始めるからです。
「わかった。言われた通りにやっていればいいんでしょ?」
まさに、組織への「依存」を生むわけです。
■組織単位で「ルール」を考える
では、どうしていけばいいのか?
私が持っている一つの答えは、「小集団」のルールを適用すること。
会社全体のルール適用は、やはり必要なものは必要です。
ですが、小さな5人ほどのチーム内でのルールを
優先するようにしてしまうのです。
5人の組織であれば、その中のメンバーで作ったルールへの納得感は
組織全体にかかっているルールよりも高くなります。
そして、多くの場合、そのようにして作られたルールは
現場や実務ベースで考えられたものより現実的なルールにもなるでしょう。
会社のルールはこれだけど、うちらのチームは
今回はこうやってやっていこうとお互いが納得して成果に向かう。
自分たちでルールを作れると感じると、
そこに「あそび心」が生まれます。
そうすると、チームの次の一手に、「あそび」ができ、
メンバーが自己コントロールを楽しむ余地ができると思うのです。
ただ、会社としては、それぞれの小集団に「任せる」勇気が
必要になります。信じなくてはいけないですし、
社員も信じてもらえる社員でいることを期待されるわけです。
■上司として「仕事のルール」を考える
組織自体の制約やルールも存在しますが、
上司自身のあり方によって発生している「ルール」もあります。
なので、上司自身がプロとしての仕事をする信念、
チームをまとめるために持っている信念。
それがどんなものなのかまずは、認識するところから必要になります。
そして、それが「ルール」になるのです。
普段、部下に口酸っぱく言っていることがあるなら
それも「ルール」ですよね。
その「ルール」ちゃんとチームに生きていますか?
そして、自分自身がその「ルール」に従って、
ちゃんと自己コントロールできていますか?
部下は、みんな見ています。
そして、自分自身が徹底して、自己コントロールが
できていることを見せつけること。
ルーズな部分は、人間だから誰しも持っています。
でもそんなものを吹っ飛ばすくらいの飛び抜けた何かを
見せつけ続けることが必要だと思うのです。
以前にも例に出した、職人の世界の親方と弟子の話をすると
親方は、自らに負荷をかけまくっているものです。
それを見ている弟子は「そこまでやるんですか?わかりました」
といって、自然とその背中を誇りに感じ、
希望を持って追いかけはじめる。
自分の信念から生まれる「ルール」を知り、
自己コントロールをしている背中をみてもらうことを
考えてほしいと思います。
上司自身が何かのプロフェッショナルであるために、
自己コントロールし続けることが、一つ、
強く楽しい組織への一歩であるように思うのです。
皆さんもぜひ考えてみてくださいね。
ではまた来週お会いしましょう。
井上健一郎
■編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■■
編集担当の佐藤明日美です。
制約の話を聞いて、思い出したこと。
お気に入りの日本のSF小説「新世界より」。
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」に由来するこの小説。
舞台は1000年後の日本。
人類が超能力を身につけている設定なのですが
大きな戦争後に散り散りになった生き残りたちが
それぞれに独自のコミュニティを築き、厳格なルールのもとに
「幸福」を追求します。
厳格なルールの中には、戦前の先史時代と言われる時代の
歴史や情報、書籍全ての閲覧を禁止するものがあります。
囲われたコミュニティの外に出てはいけないというものもあります。
物語は、子供たちがあることをきっかけにその情報に触れ、
『世界の真実』を知ってしまうところから展開していきます。
「外」への羨望、好奇心、既存の概念・常識との葛藤など。
自己コントロールしているように見えて
実は、制約の中で全てを選択していたということはよくあります。
「制約」のあり方も実に多種多様。
階級、奴隷制、暗黙のルール、法律、噂話、自己イメージ、無知など。
自分が何にとらわれているかを考えさせられる一冊でした。
大スペクタクルの冒険小説。興味のある方はぜひ。
次回もよろしくお願いいたします!
佐藤明日美
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